空手にあまり詳しくない方にとっては「連盟」や「協会」と言っても、今ひとつピンと来ないのではないのでしょうか?
むしろ「伝統空手はみんな同じじゃない?」と思われるかもしれません。
しかし、伝統空手にも「連盟」や「協会」と呼ばれる、2つの大きな団体があり、両者の間には、大小様々な違いがあります。
ここでは、その2つの団体における、2つの視点から、その違いについて解説します。
目次
1つ目の視点:設立の経緯と団体の性格
「協会」も設立に協力した「全日本空手道連盟」
全日本空手道連盟(全空連)は、昭和39年に空手四大流派および防具付き空手の錬武会、諸派の連合体である日本空手道連合会によって結成された団体です。
「日本の空手道に統一的な秩序をもたらす」ことを目的に結成され、統一されたルールを確立して、流派の垣根を超えた活動を行っています。
船越義珍の系譜を受け継ぐ「日本空手協会」
日本空手協会は、昭和23年に船越義珍の高弟達によって、寸止めルールによる空手の競技化を目指して結成された団体です。
上述の経緯により、松濤館流の単独会派であり、また、一流派の統括団体としては世界的規模を誇り、協力団体である全空連にも比類するほどの規模でもあります。
「連盟」設立後の「協会」との関係
日本空手協会は、松濤館流の統括団体として、他の各流派とともに、全空連の結成に協力しました。
全空連結成後、一時は離脱したものの、後に再加盟をしてからは、長らく全空連の協力団体でもありました。
しかし、平成26年に天皇杯と皇后杯の下賜をめぐって全空連と対立が生じ、協力関係が解消されてしまいましたが、後に和解して、再び全空連の協力団体に復帰しています。
2つ目の視点:試合におけるルールの違い
一本勝負の独自ルールを持つ日本空手協会
日本空手協会は、全空連の協力団体であり、全空連の試合にも選手を出場させていますが、独自のルールでの大会も、自主的に開催しています。
協会ルールも連盟ルールも、基本的にはノンコンタクトの寸止めルールですが、協会ルールでは、一本勝負を採用しており、技有り2本でも一本に相当するものとなっています。
また、連盟ルールではペナルティ対象となる、「過度の接触」の項目がないこともあって、ノンコンタクトではありますが、実際には結構打撃が当たっていることも多いようです。
ポイント制を採用した全日本空手道連盟
全日本空手道連盟(全空連)は、ポイント制を採用し、得点の多い順に「一本>技有り>有効」となり、8ポイント差をつけた者が勝者となります。
協会ルールでは、上段突きや中段突きで技有りとなる、一本勝負を重視したシンプルなルールであるのに対し、連盟ルールでは、例えば、連続技や相手を崩してからの技で、技有りが認められるというように、技巧面を重視したルールとなっています。
防具やその他備品にも違いあり
両者のルールの違いは、他にも防具類やその他備品においても同様にあります。
連盟ルールでは、詳しい方ならご存知ですが、帯や防具類に色指定がなされています。
立つ側によって、それらの装備品の色が、赤あるいは青で統一されている決まりがあります。
また、装備品自体や採点に使う道具類の形状も、「連盟」と「協会」の両者の間では、違いが見られます。
まとめ
一口に伝統空手と申しましても「連盟」と「協会」の両者の間では、団体の性格や設立の経緯が異なります。
また「協会」は「連盟」の協力団体でありながらも独自に大会も開催を行っており、その際は「連盟」とは異なる、独自のルールを採用しています。
伝統空手も、大小様々な団体があり、それぞれ違った個性が見られます。
その中でも「全日本空手道連盟」と、その協力団体でもある「日本空手協会」が、伝統空手を代表する、2つの大きな団体として挙げることができるのです。