空手において、2人でお互い向かい合いながら行う練習のことを「組手」と言います。
けれども、柔道や合気道出身者からすれば「空手には組手はあるけど『乱取り』ってないの?」と思われるかもしれません。
ここでは、空手には「乱取り」があるのかどうかについて、用語の解説も交えながら、説明します。
空手の組手とはどういうものか?
先にも述べましたように、組手とは「2人で向かい合いながら行う練習形式」を指します。
その組手には、さらに以下のように分類されます。
◯約束組手
攻撃する側と、それを受けて技を返す側に分かれて、決められた技の流れで行う組手。
◯自由組手
お互いに自由に技を出しながら攻防し合う組手。
単に「組手」というと、この自由組手を指す。
◯組手試合
勝敗を決める形式の自由組手。
技を当てる強度やルールによって、流派やそのスタイルが大きく分類される。
一般的には単に「試合」と呼ばれる。
約束組手で技の使い方を覚え、自由組手で応用し、組手試合で実力を試す、というように、目的に応じた内容に分けることができます。
空手には乱取りはあるの?
「乱取り」とは、もともと組み技系の用語
「乱取り」とは、柔術や柔道、合気道といった組み技系の武道の用語です。
お互いに自由に技をかけ合う練習形式を指し、上述の武道において、空手に対する「自由組手」と同じ意味合いで用いられます。
空手で言うところの「乱取り」は「組手」
空手において、乱取りと同じ意味の練習形式はあくまでも「(自由)組手」となります。
したがって空手においては、一般的には「乱取り」という言葉は使いません。
中には「乱取り」と「組手」を使い分けているところも
空手以外の例ではありますが、競技形式を取り入れている合気道団体の中には、以下のように、乱取りと組手を使い分けているところもあります。
・乱取り…合気道技のみでお互いに自由に技をかけ合う
・組手…合気道技に加えて、当て身技(打撃技)も混じえながら、お互いに自由に技をかけ合う
組み技のみは「乱取り」、打撃も混じえると「組手」というように両者を使い分けています。
まとめ
空手においては、2人で組んでお互い自由に技をかけ合うことを組手と呼び、乱取りというものはありません。
乱取りは柔術や柔道、合気道における同様の練習形式を指します。
それぞれの武道において、固有の専門用語というものがあり、その武道を理解するためには、その専門用語を知ることも、とても重要なことです。