皆さんは、フルコン系と伝統系との間では、同じ空手でも、誰もがその大きな違いを感じることでしょう。
しかし、その具体的な違いについて、なかなか表現することが難しいのではないでしょうか。
ここでは、フルコン系の代表として極真空手と、全空連の中核をなす伝統系各流派を例に挙げ、その具体的な違いについて、分かりやすく解説します。
極真空手も母体は伝統系だった!?
極真空手の創始者・大山倍達は、1954(昭和29)年に自宅の敷地内に「大山道場」を開設しました。
この大山道場は、開設当初は彼が剛柔流出身で、その一会派である剛柔会の役員だったため、剛柔会の一道場として開設されました。
しかし、大山道場においては、独自に直接打撃による組手を、剛柔会時代から行っていました。
ただ、現在の極真空手とは異なり、顔面や急所への攻撃や、投げ技・関節技ありの過激なスタイルで行われていました。
そのような方向性ゆえに、1957(昭和32)年、大山道場は剛柔会から独立し「日本空手道極真会 大山道場」と名乗ることになりました。
大山道場は1964(昭和39)年、国際空手道連盟極真会館へと改組され、その後に続く極真空手の各会派やその他フルコン系各会派の母体となって、今日に至っております。
極真空手と伝統系の大きな違いとは?
当てるか当てないか
極真空手では、一般に「フルコン」とも呼ばれている「フルコンタクトルール」で行われており、顔面への突きや急所への攻撃以外は、直接打撃にて勝負します。
一方、伝統系では「ノンコンタクトルール」を採用しており、当ててはいけないが、しっかりと腰の入った突き蹴りができているかどうかで、技を見極めます。
ダメージ制かポイント制か
極真空手では、相手にどれだけダメージを与えられるかで、決着をつけます。
一方、伝統系においては、技を見極めた結果でポイントが加算され、ポイントをどれだけ取れるかで勝敗を決めます。
近いか遠いか
極真空手では、顔面への突きが禁じられており、しかも中途半端な間合いでは、相手からの危ない蹴りをもらう恐れがあるため、近い間合いでの接近戦となります。
一方、伝統系では、ノンコンタクトルールで、しかも顔面への突きもポイントとなるため、間合いは遠くなる傾向にあり、遠い間合いから一気に飛び込んで突き蹴りを出すスタイルとなります。
パワーかスピードか
極真空手では、威力のある突きや蹴りによって、相手にダメージを与えなければならないので、パワー重視の戦いとなります。
一方、伝統系では、手数が多いほどポイントを得るチャンスに恵まれるので、より多くの突き蹴りを出すために、スピードが重視されます。
まとめ
極真空手と伝統空手の違いについてまとめると、以下の通りとなります。
・技を当てるか当てないか
・ダメージ制かポイント制か
・間合いが近いか遠いか
・パワー重視かスピード重視か
ただ、注意しなければならないのは、空手においてどの流派や会派、どのルールが優れているということは、決して比較できないということです。
なぜなら、何事も「十分やり込んだ人の方が強い」からなのです。