同じ空手でも、極真空手を母体とする空手と、伝統系の各流派を母体とする空手とでは、大きな違いがあります。
ここでは、空手について初めての方のために、極真空手と伝統空手の違いについて、試合における戦い方を例に挙げて、分かりやすく解説していきます。
寸止めか直接打撃か
「四大流派」と呼ばれる、伝統系の各流派を中心として構成された、全空連をはじめとする各組織では、いわゆる「寸止めルール」を採用しています。
ひと口に寸止めといっても、突き蹴りはしっかりと行いながらも相手に触れない「ノンコンタクトルール」から、軽く当てるところまでは許される「ライトコンタクトルール」まで、統括する組織によって違いがあります。
一方、極真空手やそれを母体とする各流派・団体では、突きや蹴りを相手に効かせるように打ち込む「直接打撃制」を取り入れています。
直接打撃制は「フルコンタクトルール」とも呼ばれており、伝統空手の戦い方と比べても、受けよりも攻めを重視した戦い方となります。
次に、双方のより詳細なスタイルの違いについて、解説していきます。
極真空手と伝統空手のスタイルの違い
極真空手を中心とする直接打撃制と、伝統空手を中心とする寸止めルールとでは、その戦い方のスタイルも大きく異なります。
間合い
極真空手などの直接打撃制では、間合いの近い接近戦が主体となります。
一方、伝統空手で採用されている寸止めルールでは、遠い間合いから一気に相手めがけて飛び込むスタイルが主体となります。
スピードかパワーか
寸止めルールでは、ポイント制となっているため、いかに速く相手に飛び込み、そして飛び込んだ瞬間、いかに数多く突き蹴りを出せるかが勝負であり、技や動作のスピードが重視されます。
一方、直接打撃制では、パワーのある突きや蹴りでもって、お互いに接近戦で打ち合います。
そのため、打たれてもびくともしない肉体作りが求められます。
直線的か曲線的か
伝統空手の各流派が採り入れている寸止めルールでは、遠い間合いから飛び込んで突きや蹴りを繰り出すため、追い突きや逆突き、前蹴りといった、直線的な技が主体となります。
一方、極真空手などの直接打撃制では、常に接近戦で打ち合うため、フックや回し蹴りといった、近距離でも威力を出せる、腰の回転を使った曲線的な技を多用しています。
まとめ
同じ空手でも、威力重視の極真空手と敏捷性と安全性重視の伝統空手とでは、その思想の違いにより、それぞれスタイルが大きく異なります。
しかし、それぞれ違いこそあれ、技を磨き、身と心を鍛える空手の精神は、伝統系の各流派も、極真空手およびそれを継承する諸団体も問わず、皆共通のものなのです。