流派を問わず、空手の稽古では必ず行われる、受け。
基本稽古や約束組手の際、伝統的な受けの動作を、どこの道場でも行っています。
しかし、これらの受けの動作が、実戦でも使えるのかどうか、誰しもが疑問に思ったのではないでしょうか。
ここでは、空手の受けが、果たして実戦に使えるのかどうか、その謎に迫ってみたいと思います。
目次
はるか昔は実戦に使っていた!?受けの動作のルーツを探る!!
空手はその昔、沖縄に独立した王朝があった時代に、沖縄固有の武術が中国拳法、そして日本武術と融合して発達しました。
沖縄固有の武術の中には、トンファーやサイを用いたものもあり、空手の型に、トンファーやサイといった武具を用いたものがあるのは、その名残りです。
特にトンファーは、近接戦用の攻防一体型の武器として用いられました。
上段揚げ受けや中段内受けあるいは外受け、下段受け払いといった伝統空手の受け技は、トンファーを用いて相手の武器を受けると同時に、攻撃に転ずる際の受けの動作だと言われています。
今でも実戦には使えるのか!?その謎を解く!
確かに、これら伝統空手の受け技は、こちらも何か武具を装着していれば、確実に受け止めることができるでしょう。
しかし現代は、そう簡単に武器を持ち歩くことができませんので、こちらが素手の状態で空手の受けが通用するかどうか、という前提に絞られてしまいます。
互いに素手での打ち合いの場合は、次から次へと突きや蹴りなどの連打が繰り出されます。
単発で受ける伝統空手の受け方では、対応しきれないでしょう。
ましてや、蹴りを素手で受けるのが危険なことは、周知のところです。
突きに対してはパーリング、蹴りに対してはすね受け、そして受けたら即返し、というようなフルコンスタイルでの受け方になるでしょう。
また、顔面への攻撃にも警戒しなければなりませんので、常に顔面をガードできる構え方で対処しなければなりません。
しかし、現実には髪や胸倉、腕などを掴みにくることが多いので、その場合、伝統系・フルコン系問わず、それらに対処している流派以外では、各々がアレンジを加えていく必要があります。
さらに、相手が刃物を振り回してきた場合は、さすがに素手では受けきれません。
そうなると、こちらもダメージを負わないように、何か周囲にあるものを持って応戦するより他はありません。
まとめ
職業上の都合を除き、現代社会においては、武器の所持は許されませんので、何か事があった際も、素手で対処しなければならない状況となります。
伝統空手・フルコン系問わず、掴みや投げなどに対処している流派を除くと、以下の結論となるでしょう。
・伝統空手の受けの動作は、現在の状況では対処が難しい
・フルコン系の受け返しが、比較的対処しやすいが、掴みなどには対処が難しい
実戦において、空手での受けは、工夫次第では使うことができるでしょう。
しかし、それだけではカバーしきれない部分はやはり、あると言わざるを得ないでしょう。