空手での試合や組手で、後ろ蹴りが使えるようになると、攻撃のバリエーションがグッと増え、攻めの展開にも華を添えることができます。
しかし、慣れを要する技のため、不慣れなままで繰り出すと、不利な状況に追い込まれる恐れもあります。
ここでは、空手での後ろ蹴りのコツをつかむための秘訣について、述べてみたいと思います。
そもそも後ろ蹴りってどんな技?
空手の後ろ蹴りはもともと、背後にいる相手に対して攻撃する技で、その応用で、前に向かい合う相手に対してのフェイントと回転力による威力の増幅作用によって、相手に大きなダメージをもたらす技として、広く用いられています。
練習法としては、最初は一人でシャドーを行ってみましょう。
練習する際は安全のため、周囲、特に蹴る方向には障害物がないようにしておきましょう。
以下にざっとではありますが、初めての方のための、一人でできる練習方法をご紹介します。
【練習1】振り返って後ろ方向を蹴る
自然立ちの構えから、後ろを振り返りながら、膝を曲げながらなるべく高く上げて、狙った方向へとまっすぐ脚を伸ばして、かかとで蹴りこみます。
かかとで蹴る際には、かかとで「突く」イメージで行いましょう。
【練習2】1回転して前方向を蹴る
後ろに振り返って蹴れるようになったら、1回転してから、前の狙った方向へ蹴りこんでみましょう。
今度は組手の際の、左右いずれかの足が前に出ている状態で構えます。
右で蹴りこむ場合は左前で、左で蹴りこむ場合は右前で構えます。
前足を後ろ足の方へ平行移動し、素早く振り返りながら【練習1】の要領で、まっすぐ脚を伸ばして、かかとで蹴りこみます。
蹴りこんだ足をそのまま下ろすと、ちょうど反対の構えになりますので、再び上記の要領で反対側の脚で、蹴りこんで下さい。
そうすれば、左右両方の練習がスムーズにできます。
後ろ蹴りができるようになれば、その発展形として、後ろ回し蹴りなどもできるようになりますので、一人で練習を行う際は、正しいフォームで練習して下さい。
また、しっかりとした蹴りができるようになるためには、足腰の柔軟性が大切です。
ストレッチングはしっかりと行って、柔軟性も身につけて下さい。
秘訣を知ることが、コツをつかむ早道
空手での後ろ蹴りは、命中すれば相手に大きなダメージを与えることができるのですが、失敗すれば相手に間合いを詰められて、逆に相手からの反撃の機会を与えてしまう危険性も孕んでいます。
相手に効かせる後ろ蹴りを練り上げるための、最大の秘訣は「命中精度」にあります。
シャドーで行う時点から、この「命中精度」を意識して練習していけば、必ずコツをつかむことができます。
まず、蹴りこむための架空のポイントを決めましょう。
狙う方向に、自分と同じ身長の相手がいると想定して、その相手のみぞおちを狙うようにして、かかとを突くように蹴りこんで下さい。
後ろ方向を蹴る場合も、前方向を1回転して蹴る場合も、顔を先に振り返ってから、素早く目線を上述の位置に合わせて、照準を定めるようにして下さい。
ある程度、シャドーが慣れてきたら、今度はサンドバッグを使った練習をしてみましょう。
実際にサンドバッグを蹴りこんでみると、うまく距離が取れずに空振りしてしまうこともあれば、脚がサンドバッグに負けてしまって跳ね返されてしまうこともあるかもしれません。
うまく相手に命中できる間合いは、サンドバッグやミットを使った練習の中でつかむようにして下さい。
また、筋トレなどでしっかりと足腰も鍛えるようにして、片足立ちになって蹴りこむときにぐらつかないように、かつ、蹴りこんでも跳ね返されないような脚力も作っていきましょう。
それが慣れてきたら、誰かパートナーになってもらい、ミット(できればビッグミット)を使って、相手も動いている状況の中で蹴りこむ練習をしていきましょう。
相手が動いている状況では、なかなか照準を定めるのは難しいでしょう。
その中で、素早い判断力や動作を身につけていきましょう。
そのあとは、スパーリングなどで実践していきましょう。
まとめ
以上、空手での後ろ蹴りのコツについて述べてみましたが、一番重要なものは「命中精度」です。
シャドーで行うときも、サンドバッグやミットを使った練習を行うときも、まずは狙いを定めたところに目線を合わせて、即座に蹴りこむようにして下さい。
それが意識せずにできるようになれば、試合や組手においても、実践できるものになっているはずです。