空手に興味をお持ちで、これから始めようと考えている方にとって、基本の練習はどのように行われるのか、関心の高いところでしょう。
ここでは、空手の基本稽古について、どのような練習を行うのか、解説していきます。
基本はなぜやるのか
空手が本土に渡る前、沖縄では、空手は型で技を覚えました。
それが後に本土に渡ってから、型を単発の技に分解することによって、誰でも技を覚えやすくするようにしました。
それらの技が、現在の基本稽古の技につながっています。
空手の基本稽古は、上級者・初級者問わず、空手的な体の使い方を練るためには、常に欠かすことのできないものです。
それらは、組手や試合において、自然に動けるようにするための「基本」となる動作であります。
中には、相手に挙動を読まれるくらいモーションの大きい技や、腰の高さを低くしながら動くなど、動きづらい動作をする技があります。
けれども、それらは鍛錬の意味合いと、自然体のときでも、技の速さや威力を引き出すために、敢えて誇張された動作なのです。
そして、空手が全く未経験の人でも、物事を覚えるのに時間がかかる人でも、反復することによって誰でも平等に、空手的な体の使い方を身につけるための、重要な手段なのです。
「弱い人でも強くなれる」という武道の素晴らしい要素が、この基本稽古には含まれています。
基本稽古の内容
空手での基本稽古の内容は、流派や道場によっては移動稽古も基本に含まれることもありますが、一般的には立ち稽古中心に行われます。
基本稽古の技の概要
基本稽古で行われる技は、主に突き・蹴り・受けに大別され、その大きな括りをひと固まりとして、様々な技を、様々な立ち方で練習していきます。
それらの技の順序、そして練習する技の種類は、流派・道場ごとに決まっています。
基本稽古の技や立ち方の例
次に、基本稽古で行われる技や立ち方の例をご紹介します。
(技の例)
・突き:中段正拳突き、上段正拳突き、鉤突き、下突きなど
・蹴り:前蹴り、回し蹴り、横蹴り、足刀蹴り、後ろ回し蹴りなど
・受け:上段揚げ受け、中段内受け、中段外受け、下段受け払い、手刀受けなど
・その他手技:手刀打ち、裏拳打ち、脾臓打ちなど
(立ち方の例)
・三戦立ち、騎馬立ち、四股立ち、前屈立ち、後屈立ち、不動立ち、猫足立ちなど
ほとんどの流派や道場ではそれぞれ、以下の例のように、練習する技に対応した立ち方が決まっています。
(技に対応する立ち方の例)
・中段・上段正拳突きのときは三戦立ち
・受け技のときは騎馬立ち
・前蹴りのときは前屈立ちなど
以上に挙げた技や立ち方で、基本稽古を進めます。
基本稽古の練習パターン
基本稽古はまず、生徒たちは帯上順から列を並び、先生や指導員が向かって前に出て、号令をかけながら行います。
指導員の号令の後、生徒たちは、その技でいちばん力が入る瞬間に合わせて、元気よく気合いを発しながら、技を出します。
それぞれの技ごとに、まずは左右交互に1本ずつ行い、10本ほど行った後に、左右交互に連続して行います。
連続で行う回数は、流派や道場によって異なり、10本程度のところもあれば、50本のところもあり、中には数百本以上行うところもあります。
まとめ
ほとんどの流派では必ず、基本稽古を行い、そこで空手的な体の使い方を、反復して練習します。
そこでは上級者も初級者も関係なく、皆一斉に並んで行います。
ひたすら同じ技を延々と繰り返す単調なものではありますが、基本を繰り返すことによって、たとえ上級者であっても、ときには新たな気づきが生まれることもあるのです。