空手での稽古メニューの中には「型」というものがあります。
それは、実戦に即した状況を一人でイメージしながら、決められた動作の手順に従って移動しながら技を出す稽古方法です。
果たして、型がどこまで使えるのか、護身に役立つことができるのか、その謎に迫りつつ、解説していきます。
稽古法としての空手の型と、その限界について
空手の型は、攻撃技と受け技を組み合わせた一連の流れで、数多くのパターンがあります。
それは全て、常に相手がいると想定されており、その想定の下、一人でイメージしながら行います。
本来は、型の一連の流れの中において、技に対する体の使い方やタイミング、呼吸を覚えていきました。
型が成立した当時、空手が沖縄から本土に渡る前は、現在と違い、大小の争いごとは日常茶飯事だったことでしょう。
そのため「型で学んで即実戦」ということが可能だったと考えられます。
しかし、現代社会においては、型を覚えたところで、即護身に役立てられるかというと、下記の点において、難しいと言わざるを得ません。
(1)戦いのスタイルあるいは武器が、型が成立した当時から大きく変化している
(2)戦わざるを得ない状況の頻度が、警察制度が整備された現在においては、格段と少なくなった
(3)社会的地位を失うリスクが大きいため、むしろ実戦の機会は避ける傾向にある
上記の理由において現在では、単に型の稽古だけで護身に役立たせるには、限界があると言ってもよいでしょう。
空手の型を護身に活かすには?
現代において、上述のような制限の下では、空手の型をマスターして、すぐに護身のために活かすことは、至難の業であるといってよいでしょう。
しかし、通常の稽古で行われる課目を利用し、対人での稽古を取り入れることによって、型を護身に活かすことは可能です。
空手の型を護身に活かすためには、一例でありますが、下記の要領で研究を進めるとよいでしょう。
(1)型の中から「これは」という動作があれば抜き出してみる
(2)抜き出した部分を、対人形式で再現してみる
(3)実際に起こりうるシチュエーションでアレンジ可能か、対人形式で検証してみる
(4)必要あれば現状に即したスタイルにアレンジして練習してみる
上記の要領で分解したものを蓄積させていきましょう。
蓄積したところで、受け手に自由に攻撃させて、とっさに対応できるかどうかの練習も行うようにしましょう。
これを行うことによって、不確実な状況でも実践できるようになり、はじめて型が護身に活かすことができます。
まとめ
ただひたすら空手の型を稽古するだけでは、護身には使うことができません。
型をマスターしたら、各々で分解なりアレンジなりして、それを対人の稽古において実践し、検証していく必要があります。
対人の稽古もしっかりと行い、型の動作が応用できるようになってこそ、その技が護身にも活かせるのです。